医療現場で着用するスクラブは、清潔さを保つことが重要なため、こまめな洗濯が必要です。
ですが、洗濯方法を間違えると、劣化や縮みの原因となることもあります。
今回は、医療用スクラブを長く清潔にお使いいただくためのポイントをご紹介していきます。
この記事を参考に、スクラブの正しいお手入れ方法をマスターしましょう!
医療用スクラブは自宅で洗濯可能?
はじめに、「医療用スクラブは自宅で洗濯可能?」という疑問にお答えしましょう。
結論から申し上げますと「可能」です。
医療用スクラブは、家庭用洗濯機で洗っても問題ありません。スクラブはもともと「scrub」を語源としている通り、ゴシゴシ洗っても大丈夫なように作られています。
ただ、丈夫なスクラブとはいえ、洗濯時にはいくつか注意点もあります。
誤ったお手入れ方法をすると、スクラブの生地が痛んで、寿命が短くなってしまうんです。
毎日着用するものですから、できるだけ長持ちさせたいですよね。
ここからはスクラブを長持ちさせるお手入れ方法をご紹介していきます。
医療用スクラブの洗濯前にする準備
スクラブをより長持ちさせるには、洗濯前の準備も大切です。
洗濯表示の確認
スクラブの洗濯前には、必ず洗濯表示を確認しましょう。洗濯表示に従わないと、生地が傷んだり色落ちしたりすることがあります。表示に基づいて、洗濯水の温度や洗剤の種類を判断しましょう。
洗濯表示の基本は、
- 洗濯の方法
- 漂白方法
- 乾燥の方法
- アイロンの方法
- クリーニングの方法
です。最初に洗濯するときには、必ず表示をチェックしてください。
洗濯表示に関する記事はこちら
シミや汚れの事前処理
特に目立つ汚れやシミがある場合、洗濯機で洗っても汚れが落ちきれないこともあります。
洗濯機に入れる前に、特に汚れがひどい箇所は部分洗いをするとよいでしょう。
汚れがひどい箇所に、洗剤を直接塗布し、軽く揉み込むなどすると汚れが落ちやすくなります。
それでも落ちない頑固な汚れには、漂白剤やつけ置き洗いが必要になります。
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ポケットやジッパーの確認
洗濯機に入れる前に、ポケットに物が入っていないか、ファスナーやボタンがしっかり閉じられているか確認しましょう。
ポケットに物が入ったまま一緒に洗濯機を回してしまうと、スクラブ自体が傷ついたり、ものによっては洗濯機の故障の原因にもなります。
特に、ポケットにティッシュが入ったままになっていると大変です。
洗濯機の中や洗濯物がティッシュまみれになり、取り除くのにもひと苦労ですので注意してくださいね。
洗濯の仕分け
スクラブは他の衣類とは分けて洗うことをおすすめします。
その理由は主に2つあり、
スクラブの色移りや摩擦による劣化を防ぐことと、
雑菌やウィルスが移るのを防ぐことです。
医療現場で着用していたスクラブには、雑菌やウィルスが付着している確率が高くなります。
他の衣類に雑菌やウィルスが移ってしまうのを避けるため、特にタオルや肌に直接触れる衣類とは分けて洗濯した方がよいでしょう。
洗濯ネットの使用
スクラブを洗濯する際は、洗濯ネットを使用することをおすすめします。
摩擦による生地の劣化や、ファスナーやボタンがひっかかって痛むのを防げるためです。
ネットに入れる前に、スクラブのファスナーやボタンは閉めて、できれば1着ずつネットに入れるようにしましょう。複数枚入れる場合は、ひとつのネットに詰めすぎないようにしてくださいね。
医療用スクラブの洗濯方法
正しい方法で洗濯をすれば、スクラブの生地の劣化を防いで長持ちさせることができます。
具体的な洗濯方法についてみていきましょう。
適切な洗濯温度
まず、適切な温度で洗うことが大切です。
一般的には、30℃〜40℃のぬるま湯か水で洗濯するのがよいですが、洗濯表示を確認してください。
高温で洗濯すると、皮脂汚れが落ちやすく、臭いも残りにくいという利点はありますが、高温で洗うと色落ちや縮みが発生する生地もあります。洗濯表示に従い、適切な温度で洗濯しましょう。
洗剤の選び方
生地にもよりますが、スクラブの洗濯には一般的に中性洗剤が適しているケースが多いと思います。
洗濯洗剤は主に、
- お洒落着用の中性洗剤
- 中性または弱アルカリ性の一般的な液体洗剤
- 弱アルカリ性の粉末洗剤
に分類されます。
同じ中性洗剤でも、お洒落着洗いは、一般の中性洗剤よりも洗浄力は下がりますが、生地への負担は優しいです。
また、中性洗剤に比べて弱アルカリ性の洗剤の方が洗浄力は強いですが、生地への負担はかかります。
洗浄力と生地への負担を考えると、普段は一般の中性洗剤を使用し、汚れがひどいときだけ弱アルカリ性の粉末洗剤を使う、というように使いわけてもよいかもしれません。
弱アルカリ性洗剤の中でも、液体より粉末タイプの方が洗浄力が強い傾向にあります。
色落ちを防ぐには
スクラブの色落ちを防ぐには、40℃以下の洗濯水で洗うことが望ましいです。
殺菌目的で高温でスクラブを洗うケースもあるかもしれませんが、高温で洗うと色落ちしやすくなります。洗濯中に生地に摩擦が起きると、色落ちの原因にもなりますので、裏返してネットに入れて洗うとよいでしょう。
洗濯後の干し方と乾かし方
洗濯後は、直射日光を避けて風通しの良い場所に干すのがおすすめです。
直射日光に当てると、紫外線と生地の繊維が化学反応を起こして、色褪せの原因となることがあります。
「日光に当てると殺菌効果もあると聞くので、日の当たるところに干した方がよいのでは?」と思われるかもしれません。確かに、日光に当てると殺菌効果も期待できます。
「色褪せも気になるけれど、殺菌効果も捨てがたい!」という方は、日の当たるところに干す際は裏返して干すと色あせのリスクも軽減できます。
また、ほとんどのスクラブは、乾燥機を使用しても問題ないでしょう。
念のため、洗濯表示を確認してから使用してくださいね。
医療用スクラブの漂白・消毒方法と注意点
医療現場で使用するスクラブは、清潔さを保つことが重要です。
ここからは漂白の方法と注意点について解説していきます。
漂白剤の種類と使い方
スクラブに通常の洗濯では落ちないシミや汚れがついてしまったときに、漂白剤を使う機会があると思います。
漂白剤には、塩素系と酸素系の2種類があり、塩素系の漂白剤は、キッチン用のふきんやタオルの漂白に使われることが多く洗浄力が強いため、色柄物に使うと色落ちの可能性があります。
一方、塩素系の漂白剤は、油汚れにも使えるうえに、生地にも優しいため、色柄物にも使えます。
白色以外のスクラブには、酸素系の漂白剤を使うことになるでしょう。
使い方は、水で漂白剤を薄めてつけ置き洗いする方法と、洗剤と一緒に入れて洗濯機洗いする方法があります。
漂白時の注意点
漂白剤を使用する際には、使用量やつけ置き時間に注意が必要です。
濃度が高すぎたり、長時間つけ置きすると生地が劣化する恐れがあります。
漂白剤の使用方法の指示に従い、適切な方法で漂白しましょう。
注意点として、「漂白剤を使ったら、パンツのゴムが伸びてしまった!」というのはよく耳にする話です。
これは、漂白剤によってゴムの素材のポリウレタンの伸縮性が弱くなってしまうことがあるからです。スクラブのボトムスを洗う際には注意してください。漂白剤を毎回使うことは避けましょう。
頑固なシミの落とし方
食べ物やインク、汗じみなど、医療現場でつきやすい汚れやシミの落とし方のコツをご紹介します。
食べ物
患者さんの食事の介助で、スクラブに食べ物がついてしまうこともあると思います。
洗濯機を回しただけでは落ちきれないことも多いので、事前に部分洗いをすることをおすすめします。
頑固な汚れには、酸素系の漂白剤でつけ置き洗いを試してみてください。
特に油っぽいものがついてしまった場合は、他に食器用洗剤も効果的です。食器用の中性洗剤を汚れた箇所にもみ込んでから洗うと、落ちやすくなります。
インク
医療現場では、スクラブのポケットにボールペンを入れている方も多くいらっしゃると思います。
うっかりペン先が出たままポケットに入れてしまい、スクラブにインクがついてしまうこともありますよね。水性のインクであれば落ちやすいですが、油性のインクは落ちにくくなっています。
そんなときは、酸素系洗剤でつけおきをするか、消毒用のアルコールまたはネイル用の除光液を使うとよいでしょう。
コットンなどにアルコールや除光液を浸して、汚れた箇所につけ、たたくようにしながら、汚れを取ってください。
除光液は色落ちのリスクもありますので、目立たない場所に除光液をつけてみて、色落ちしないか確認してら試してみてくださいね。
インクの落とし方について詳しくはこちら
汗じみや黄ばみ
体を動かす機会も多い医療現場では、汗をかくことも多く、スクラブの汗じみや黄ばみが気になることもありますよね。
そんなときは、酸素系の漂白剤でつけ置きを試してみてください。
その際は、40~50℃のお湯につけるとより効果的です。
また、汗じみや黄ばみは皮脂汚れから起こります。
油汚れに使う食器用の中性洗剤も効果的です。しみ部分に直接塗って、軽くもみ込んでみましょう。
医療用スクラブを長持ちさせる方法
スクラブを長持ちさせるためには、洗濯後のケアも重要です。
乾燥機の使用やアイロンがけ、収納方法によっても、スクラブの寿命を延ばすことができますので、ぜひチェックしてみてください。
乾燥機の使用について
多くのスクラブは乾燥機の使用が可能だと思いますが、基本は各商品の洗濯表示に従ってください。
乾燥機は、熱風をあてて衣類を乾かす仕組みです。
高温が加わると縮む生地もありますので注意しましょう。
乾燥機は使わずに、自然乾燥させる方が衣類は長持ちしやすい傾向にあります。
乾燥機を使う場合は、できるだけ短時間で済ませるようにしましょう。乾燥機で完全に乾かさずに、自然乾燥の補佐的に使うのも、スクラブを長持ちさせるにはおすすめです。
アイロンがけの注意点
スクラブは、アイロンがけが不要の素材もあります。
アイロンを使いたくない場合は、シワになりにくく、洗濯後は干すだけでOKな素材を選ぶとよいでしょう。
アイロンを使う場合には、洗濯表示を確認のうえ、温度設定に注意してください。
化学繊維を含む素材は、熱に弱い場合もありますので、必要以上に高い温度設定にすると、生地を傷める可能性があります。当て布を使うなど工夫をしましょう。
当て布をする場合は、綿素材がおすすめです。
収納方法と注意点
スクラブの収納方法は、ハンガーにかけた状態が理想です。
たたんで収納する際は、シワにならないように丁寧にたたみ、1か所につめこみすぎないことが大事です。
通気性の良い場所に収納することが望ましいですが、プラスチック製の収納ケースを使う場合は、乾燥剤を入れてカビや臭いを防ぎましょう。
定期的なチェックと交換時期
いくら丈夫なスクラブでも、頻繁に使用し洗濯を繰り返していると痛んできます。
定期的に状態を確認して、生地の擦れや色あせが出てきたら買い替えをしましょう。
医療従事者として、ユニフォームの清潔感を保つことは大切です。
お手入れが楽で長持ちしやすいスクラブの選び方
忙しい日々を送るみなさんは、スクラブのお手入れが少しでも楽になったら嬉しいですよね。
お手入れが簡単な機能のあるスクラブによって、日常的なお手入れがぐっと楽になる可能性があります。
お手入れが簡単で且つ長持ちしやすいスクラブの選び方をご紹介します。
工業洗濯対応
医療用ユニフォームは、工業洗濯といって医療機関から一括して専門業者に洗濯を委託するケースがあります。
感染症予防の観点からも、各スタッフが自宅に持ち帰らずに院内で回収するのです。
業務用洗濯機は、家庭用洗濯機より洗浄力が強く、その分、生地に負担がかかります。
スクラブの中には、工業洗濯に対応したものがあり、工業洗濯に対応したものなら、家庭用洗濯機を利用した場合の耐久性も高く、長持ちしやすいでしょう。
▶工業洗濯対応のスクラブはこちら
工業洗濯とは
防臭・消臭加工
医療現場では体を動かすことが多く、自身の汗や体臭が気になる場面が多いため、生地に防臭加工または消臭加工が施されたスクラブを選ぶのもひとつの方法です。
臭いが気になってしまうと、漂白したり天日干しをしたりとお手入れにも手間がかかります。
防臭・消臭加工のスクラブなら、お手入れが楽になり、紫外線や漂白でスクラブにかかる負担も減るので、長持ちしやすくなります。
速乾性
速乾性のある素材で作られたスクラブは、洗濯後に短時間で乾くため、忙しい日々でも効率的にお手入れが可能です。
特に湿気の多い季節や、雨天が続く季節には、速乾性素材のスクラブは大変便利です。
短時間で乾くと、雑菌の繁殖も防げるので、衣類の生乾きによる臭いも防げます。
塩素系の消毒と熱湯の消毒にも耐えられる素材
新型コロナウィルス感染症の広がりを機に、厚生労働省がウィルス対策のガイドラインを発表しました。
その中で、熱湯での消毒と塩素剤による消毒を推奨しています。
その流れを受け、熱湯にも塩素系の漂白にも耐え、色落ちしにくいスクラブが登場しています。
これまでは、熱湯も塩素系の漂白も色落ちの原因になるので避けなければなりませんでした。しかし、この素材のスクラブなら、色落ちを気にせずガンガン洗えますし、塩素系の漂白剤が付いてしまっても問題ありません。
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まとめ
今回は、医療用スクラブを自宅で洗濯するときに気をつけるポイントについて解説しました。
スクラブは、洗濯表示に従い、適切な方法でお手入れすると長持ちしやすくなります。
そして、お手入れのしやすさを考慮したスクラブ選びも重要です。
クリニックユニフォームでは、機能性に富んだスクラブを多数揃えています。
お手入れのしやすさも念頭に置きながら、あなたに合ったスクラブを見つけてくださいね!
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この記事を監修してくれたユニフォーム博士
岩田 百志(いわた もとし) ユニフォームを販売して20年。 豊富な商品知識から、商品の特徴(素材・デザイン・機能面)を瞬時に判断し、お客様に最適なユニフォームを提供するユニフォームコンシェルジュ。 現在では、後身の指導にアドバイザリーとしても尽力。 |