覚えてほしい!「新しい洗濯表示」の正しい意味

洗濯表示が新しくなったのをご存知ですか?

働く皆さんは、毎日ユニフォームを洗濯しているかと思いますが、その際に洗濯表示はきちんと確認していますか?
実は最近、衣類の洗濯表示が変わったのです。
2016年の12月にリニューアルされましたが、2024年の8月、さらに洗濯表示が新しくなりました。

新しい洗濯表示
2017年時点の洗濯表示


2016年以前のイラストテイストのものと比べると、記号感が増しましたね。
洗濯表示が変わって、今年の12月で1年が経つことになりますが、いまだに新しい洗濯表示のマークの意味をちゃんと理解していない方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、新しくなった洗濯表示について、ご紹介していきます。

なぜ洗濯表示は変わった?

なぜ洗濯表示が変わったのか、疑問に思われる方も多いと思います。
元々、各国独自のファッション文化や習慣による洗濯方法の違いがあったため、日本では日本産業規格(JIS)海外では国際規格(ISO)が適応されており、それぞれ洗濯表示が異なっていたのです。

しかし近年、衣類の生産・流通が進むにつれ、海外とのやり取りが増えました。
海外で生産して日本で販売、海外の商品を日本で販売など、今や当たり前になりましたよね。
また、洗濯機や洗剤などの種類も豊富になったことを背景に、国内外で表示を統一させようという動きがありました。そこで、ISOに合わせた新しいJISが制定され、2016年12月から施行されることになったのです。

新しくなった洗濯表示の意味を知ろう!

基本的に新しくなった洗濯表示は、5つの基本記号付加記号が合わさってできています。
それぞれの記号の意味を種類別に詳しく説明していきます。

新しい洗濯表示の説明

洗濯の仕方編

洗濯イメージ
洗濯の仕方について


旧洗濯表示は洗濯機と桶の形でしたが、新洗濯表示では、桶の形のみになりました。
以前と変わらず、桶の中の数字は洗濯液の上限温度を表しています。
今までと変わった点といえば、「弱」や「手洗イ」などの表示が記号やイラストで表されるようになったことです。

洗濯表示の見方


線が多ければ多いほど、優しく洗う必要があるということですね。

漂白の仕方編

漂白イメージ
漂白剤の使用について


旧洗濯表示はフラスコのような形でしたが、新洗濯表示では、シンプルな三角形で表示されるようになりました。
旧洗濯表示のエンソサラシとは塩素系漂白剤のことです。

今までは「塩素系漂白剤が使えるかどうか」という点しか分かりませんでしたが、新洗濯表示では、「酸素系漂白剤が使えるかどうか」も分かるようになりました。
酸素系漂白剤はおしゃれ着にも使えると言われているように、色や柄を鮮やかでキレイに見せる効果はありますが、塩素系に比べると脱色効果が薄いので、使用できる衣類の幅が広がります。
こちらは洗剤の種類が増えたことを考慮したマークに改善されていることが分かりますね。

乾燥の仕方編

乾燥イメージ
乾燥の仕方について


旧洗濯表示はリアルな洋服の形でしたが、新洗濯表示は四角がベースの形になりました。
この記号化が中でも1番分かりにくいかと思いますが、縦線はハンガーなどにかけて干す「つり干し」を表しており、横線は、ネットなどに平らになるように置いて干す「平干し」を表しています。
ニット素材の商品などは、平干しをおすすめする場合が多いですね。

一本線は「脱水後の乾燥」、二本線は「脱水なしの濡れた状態での乾燥」となり、斜めに線が入っていたら、「日陰干し」ということを表しています。
四角の中に丸が入った記号は、乾燥機を使用した乾燥ができるどうかについて表しています。
まさにコインランドリーなどにある乾燥機の形ですね。
丸の中の点は、乾燥設定の強さを表しており、点が多くなると高温もOKのようです。
また、今まであった絞りマークですが、新洗濯表示では該当するマークがないようです。
必要に応じて「弱く絞る」などが記載されるようになります。

アイロンのかけ方編

アイロンイメージ
アイロンのかけ方について


こちらは旧洗濯表示とほぼ変わらず、アイロンのマークのままです。
変わったのは「高・中・低」という表示が点で表されるようになった点と、あて布に関するイラストがなくなった点です。
必要に応じて、「あて布使用」などが記載されるようになります。

2024年8月より、スチームなしでアイロン仕上げができるマークが追加されました。

クリーニング編

クリーニングイメージ
ドライクリーニング、ウェットクリーニングについて


旧洗濯表示は丸の中に波がある形でクリーニングについて表していましたが、新洗濯表示では、丸とアルファベットでの表示になりました。
こちらもアルファベットが覚えにくいなと感じますが、大きく分けると、ドライクリーニング、ウェットクリーニングに分けることができます。

ドライクリーニングは、水ではなく有機溶剤を使った洗い方で、水の影響を受けやすいウールやシルクなどに使われる洗い方です。
ウェットクリーニングは、化学的ダメージや機械による縮みなどを抑えた状態で、水溶性汚れを除去する洗い方です。
業者に依頼するクリーニングの表記については、クリーニングOKなのかどうかという点だけでも分かるようにしておくといいですね。

洗濯表示クイズ

新しい洗濯表示の意味について、理解できたでしょうか?
では、ここからは応用編です!
洗濯表示について理解できているか確認するために、簡単な洗濯表示クイズを出題します!
並んでいる洗濯表示がどんな意味なのか考えてみてください。
Let’s 腕試し!


問題1
①【洗濯】⇒液温30℃の家庭洗濯が可能
②【漂白】⇒塩素系及び酸素系漂白剤の使用が可能
③【乾燥】⇒弱いタンブル乾燥が可能
④【アイロン】⇒底面温度120℃を限度としてアイロン仕上げができる
⑤【クリーニング】⇒クリーニング禁止

問題2
①【洗濯】⇒液温40℃の手洗いが可能
②【漂白】⇒酸素系漂白剤の使用が可能
③【乾燥】⇒タンブル乾燥禁止
④【乾燥】⇒平干しがよい
⑤【アイロン】⇒アイロンがけ禁止
⑥【クリーニング】⇒石油系溶剤またはデカメチルペンタシクロシロキサンによる弱いクリーニングが可能

問題3
①【洗濯】⇒液温40℃の非常に弱い家庭洗濯が可能
②【漂白】⇒漂白禁止
③【乾燥】⇒タンブル乾燥禁止
④【乾燥】⇒日陰のつり干しがよい
⑤【アイロン】⇒底面温度 60℃を限度、あて布をしたアイロン仕上げが可能
⑥【クリーニング】⇒ドライクリーニング禁止
⑦【クリーニング】⇒弱い操作のウェットクリーニングが可能

いかがでしたでしょうか。全問正解できましたか?
できた方は、もう安心ですね!
全問正解できなかった方も、新しい洗濯表示をしっかり覚えて、ユニフォームなどの衣類を正しくお手入れしましょう。

洗濯表示に関する動画はこちら



この記事を監修してくれた生地のプロ

北潟さん 北潟 芳樹(きたがた よしき)
東京でアパレルブランドに勤務後、福井県の生地製造メーカーへ転職。その後、2020年にユニフォームネクスト株式会社へ入社。 服飾用語や生地全般の情報に精通しており、現在はユニフォームネクストYouTubeチャンネルで「生地のプロに聞く」シリーズで生地の知識を配信中。