「自分のお店を持ちたい」
「大好きなコーヒーをもっとたくさんの人に楽しんでもらいたい」
そんな思いから、カフェ開業を夢見る方も多いのではないでしょうか。しかし、カフェを開業するには、様々な準備や手続きが必要になります。この記事では、カフェ開業を検討している方に向けて、開業するために必要な資格や準備物リストなど、役立つ情報をわかりやすくご紹介します。
カフェを開業するときの流れ
カフェを開業するときの一般的な流れは、次の通りです。
- カフェのコンセプトを決める
- 事業計画を作成する
- 物件を探す
- 許認可を取得する
- 備品を購入する
- 人材を確保する
- メニューを開発する
- 開店準備を行う
- カフェオープン
それぞれを詳しく見ていきましょう。
カフェのコンセプトを決める
コンセプトはカフェの個性を決める重要な要素です。
ターゲットとなる客層や、提供する価値、雰囲気などを明確にします。
例えば、「働く女性向けの健康的なランチカフェ」や「学生向けの勉強しやすい空間」など、独自性を持たせることが大切です。
競合店との差別化や、地域のニーズも考慮しましょう。コンセプトは後の決定全てに影響するので、十分に時間をかけて検討し、ブレないようにすることが成功への第一歩となります。
事業計画を作成する
事業計画は、カフェ経営の羅針盤となります。
市場分析、競合調査、財務計画(初期投資、運転資金、収支予測)、マーケティング戦略などを盛り込みます。特に資金計画は重要で、開業資金や運転資金の調達方法、返済計画なども含めます。
また、目標売上や損益分岐点、長期的な成長戦略なども検討します。この段階で専門家のアドバイスを受けると、より現実的で実行可能な計画が立てられるでしょう。
物件を探す
コンセプトに合った立地と物件を探します。人通りの多さ、競合店の有無、周辺環境、賃料、面積、内装の自由度などを考慮します。不動産業者に相談するのも良いでしょう。物件の選定は慎重に行い、複数の候補を比較検討します。
また、改装の必要性や費用、水道・ガス・電気の設備状況、駐車場の有無なども確認が必要です。契約前には必ず現地を訪れ、周辺の雰囲気も含めて総合的に判断しましょう。
許認可を取得する
カフェ開業には様々な許認可が必要です。
主なものは、食品衛生責任者の資格取得、保健所への飲食店営業許可申請です。その他、消防法による届出、酒類を提供する場合は酒類販売業免許の取得なども必要になります。
各種手続きには時間がかかるので、早めに準備を始めましょう。
また、地域によって規制が異なる場合もあるので、所轄の保健所や役所に直接相談し、必要な手続きを確認するのが賢明です。
備品を購入する
カフェに必要な設備や備品を購入します。厨房機器(オーブン、コーヒーマシン、冷蔵庫など)、家具(テーブル、椅子)、食器類、照明、レジなどが主な購入品目です。
コンセプトに合わせたデザインや品質を選びつつ、耐久性や使いやすさも考慮します。
新品にこだわらず、中古品やリースの活用で初期投資を抑えることも検討しましょう。また、メンテナンスや修理のしやすさも重要な選定基準となります。
人材を確保する
スタッフの採用と教育を行います。
求人サイトやSNS、知人の紹介などを活用し、コンセプトに共感してくれる人材を探します。接客スキルや調理経験だけでなく、カフェの雰囲気づくりに貢献できる人柄も重要です。
採用後は、カフェのコンセプトや接客マナー、衛生管理、調理技術などの研修を実施します。
アルバイトスタッフも含め、チームワークを大切にする雰囲気づくりを心がけましょう。
メニューを開発する
コンセプトに沿ったメニューを開発します。
ドリンク、フード、デザートなどのラインナップを決め、レシピを確立します。
原価計算を行い、適切な価格設定も重要です。季節メニューや限定メニューの企画も検討し、常連客を飽きさせない工夫も必要です。
また、アレルギー対応や健康志向のメニューなど、多様なニーズに応えられるよう配慮しましょう。
試作を重ね、味や見た目、提供時間などを徹底的にチェックし、完成度を高めます。
開店準備を行う
内装工事、設備の設置、備品の搬入、清掃などを行います。
看板やメニュー表の製作、BGMの選定、制服の準備なども忘れずに。
オープン前にスタッフとともに模擬営業を行い、接客や調理のフローを確認します。
SNSアカウントの開設やチラシの配布など、プレオープンの広報活動も重要です。
安全面や衛生面の最終チェック、緊急時の対応マニュアルの作成など、細部まで気を配りましょう。
カフェオープン
いよいよオープン日を迎えます。
初日は混雑が予想されるため、スタッフの配置や役割分担を再確認します。
お客様の反応や意見を注意深く観察し、迅速に改善につなげることが大切です。
SNSでの情報発信や、オープン記念イベントの開催なども効果的です。
初期のお客様の満足度が口コミを左右するため、特に丁寧な対応を心がけましょう。
また、資金繰りや在庫管理にも気を配り、安定した経営基盤を築くことを目指します。
カフェの開業に必要な資格
カフェの開業に必要な資格には、必須のものと状況に応じて取得した方が良いものがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【必須】食品衛生責任者
食品衛生責任者は、飲食店や食品関連施設を運営する上で最も重要な資格の一つです。
この資格は、食品の安全性を確保し、衛生管理を適切に行うために必要不可欠です。
主な役割は、食品衛生に関する知識を活用して、施設内の衛生管理を徹底することです。食材の適切な保管方法、調理器具の清潔維持、従業員の衛生教育などを担当します。
資格取得には、各都道府県の食品衛生協会が主催する講習を受講し、試験に合格する必要があります。講習では、食品衛生法や食中毒予防、施設の衛生管理などについて学びます。
多くの自治体で、飲食店開業時にこの資格保持者の配置が義務付けられており、消費者に安全な食品を提供するための重要な役割を果たしています。
この資格は、食の安全に対する社会的要請が高まる中、ますます重要性を増しています。
【必要な場合がある】防災管理者
防災管理者は、大規模な建物や事業所における防火・防災対策の責任者として重要な役割を果たす資格です。
この資格は消防法に基づいて定められており、一定規模以上の建物や事業所では、防災管理者の設置が義務付けられています。主な役割は以下の通りです。
- 消防計画の作成と実施
- 消火、通報、避難訓練の実施
- 消防用設備等の点検・整備
- 火気の使用や危険物の取り扱いの監督
- 従業員への防災教育
防災管理者になるには、消防署が実施する講習を受講し、試験に合格する必要があります。この資格は、建物や事業所の安全を確保し、災害時の被害を最小限に抑えるために不可欠な存在となっています。
防災管理者の設置は、従業員や利用者の安全を守るだけでなく、法令遵守の観点からも重要です。
【必要な場合がある】菓子製造許可
菓子製造許可は、菓子類を製造・販売するために必要な法的資格です。
この許可は、食品衛生法に基づいて各都道府県や政令指定都市の保健所が発行します。
主な対象は、パン、ケーキ、和菓子、洋菓子などの菓子類を製造する事業者です。
自家製の菓子を販売する小規模な店舗から、大規模な菓子工場まで、規模に関わらず必要となります。
許可を取得するには、施設の衛生管理や設備基準を満たす必要があります。
具体的には、適切な調理場の広さ、手洗い設備、冷蔵庫、換気設備などが求められます。また、食品衛生責任者の設置も必要です。
許可の有効期間は一般的に5年間で、更新が必要です。
各自治体によって有効期限が異なりますので、必ず保健所で確認をしましょう。
この制度により、消費者の食の安全が確保され、衛生的な菓子製造環境が維持されています。
【あれば役立つ】調理師免許
調理師免許は、日本の厚生労働省が認定する公的資格です。
この資格は、食品衛生や栄養学、調理技術など、調理に関する専門知識と技能を持つ者に与えられます。
取得するには、調理師養成施設で1年以上の課程を修了するか、2年以上の実務経験を積んだ後、都道府県が実施する試験に合格する必要があります。
この資格を持つことで、大規模な飲食店や給食施設での調理業務に従事できるほか、調理師としての信頼性が高まります。また、フードメニューの開発や、より深い調理知識の習得にも役立ちます。
調理師免許は、食の安全や品質向上に貢献する重要な資格として認識されており、飲食業界でのキャリアアップにも有利に働きます。
【あれば役立つ】SCAE認定コーヒーロースター
SCAE認定コーヒーロースターは、専門的なコーヒー焙煎技術を評価・認定する国際的な資格です。
この資格は、Specialty Coffee Association of Europe (SCAE)が提供しており、コーヒー業界で高い評価を受けています。
認定を受けるには、理論と実践の両面で厳しい試験に合格する必要があります。
試験内容には、コーヒー豆の知識、焙煎プロセスの理解、品質管理、感覚評価(カッピング)などが含まれています。
この資格を持つロースターは、高品質なスペシャルティコーヒーを一貫して生産できる能力を証明したことになり、豆の選択から焙煎プロファイルの作成、最終製品の評価まで、全工程を熟知していることになります。
SCAE認定は、プロフェッショナルとしての信頼性を高め、キャリアの向上につながる重要な資格として認識されています。また、消費者にとっては、質の高いコーヒーを提供する指標となります。
カフェの開業に必要な経営資金
カフェ開業に必要な資金は、個人経営のケースとフランチャイズのケースで異なります。
【個人経営】
項目 | |
物件取得費 | 約150~300万円 |
内装工事費 | 約100~300万円 |
什器備品費 | 約100~200万円 |
広告宣伝費 | 約50~100万円 |
商品仕入費 | 約20~50万円 |
合計 | 約420~950万円 |
【フランチャイズ】
項目 | |
加盟料 | 約150~300万円 |
保証料 | 約100~150万円 |
研修費 | 約30~50万円 |
店舗取得・工事費 | 数百万~約3,000万円 |
合計 | 数百万~3,500万円 |
他にも、以下のような開業スタイルによっても必要な費用は変わってきます。
- 移動式カフェ(キッチンカー)
- 自宅カフェ
- 独立店舗カフェ
また初期費用のほか、開店した後は運転資金もかかってきます。
カフェを開業するときの準備物リスト
ここからは、カフェを開業するときの準備物リストを紹介していきます。
店舗
店舗で準備するものは、主に 次の通りです。
☑ | 準備するもの | 概要 |
物件契約書 | カフェを開業する建物や土地の賃貸 または購入に関する法的な合意書 | |
登記簿謄本 | 不動産の公的な記録文書 | |
建築図面 | カフェの内装や設備の配置を示す設計図 | |
各種許可証 | 飲食店営業許可証(保健所発行) 酒類販売業免許(アルコールを提供する場合) 消防署の検査済証 など | |
保険証券 | 店舗総合保険(火災、盗難、賠償責任など) 食中毒保険 従業員のための労災保険 など |
厨房
厨房に関する設備等で準備するものは、主に次のとおりです。
☑ | 準備するもの | 概要 |
調理器具 | フライパン、鍋、包丁、まな板、泡立て器、計量カップなど、 食事やデザートを調理するための基本的な道具 | |
厨房機器 | オーブン、コンロ、冷蔵庫、冷凍庫、 食器洗浄機、コーヒーマシンなど、 大型の調理・保存機器 | |
食器 | プレート、カップ、グラス、 カトラリー(フォーク、スプーン、ナイフ)など | |
調理器具洗浄機 | 調理器具や食器を効率的に洗浄・殺菌するための機器 | |
食材保存容器 | 食材や調理済み食品を適切に保存するための プラスチックや金属製の容器 | |
ゴミ箱 | 厨房や客席で発生するゴミを適切に処理するためのもの |
客席
客席に関する設備で準備するものは、主に次の通りです。
☑ | 準備するもの | 概要 |
テーブル | 木製、鉄製など、お店の雰囲気に合わせたものを選ぶ | |
椅子 | 快適性と耐久性のバランスで選ぶ | |
照明器具 | ペンダントライト、スポットライト、 間接照明などカフェの雰囲気に合わせて選ぶ | |
カウンター | スタッフが作業しやすい高さに設定 | |
その他 | エアコン、換気システムなど |
その他
☑ | 準備するもの | 概要 |
レジ | POSシステムなど | |
清掃用品 | 床掃除用のモップ、ほうき、雑巾、洗剤など | |
備品 | 食器、調理器具、テーブル、椅子など | |
ユニフォーム | スタッフの統一感と清潔感を演出し チームワークを生む制服 | |
看板 | 店舗の場所や存在をアピールする広告ツール | |
メニューボード | 提供する飲食物の一覧 | |
パソコン | 在庫管理、会計処理、スケジュール管理などに使用 | |
Wi-Fi | 顧客サービスとして提供 | |
防犯カメラ | 店舗や従業員、顧客の 安全を確保するためのセキュリティ対策 | |
消火器 | 法律により設置は義務 |
まとめ
カフェ開業の流れは、コンセプト決定、事業計画作成、物件探し、許認可取得、備品購入、人材確保、メニュー開発、開店準備、オープンの9段階です。
必須資格は食品衛生責任者で、状況に応じて防災管理者や菓子製造許可が必要になります。
調理師免許やコーヒー関連資格もあると、メニュー展開やカフェのブランディングを考えるうえで有利でしょう。
開業資金は個人経営で約420~950万円、フランチャイズで数百万~3,500万円程度です。
移動式や自宅カフェなど、開業スタイルによっても費用は変動するので、検討している開業スタイルと同じお店を参考にしましょう。
ユニフォームネクストでは、カフェ店員にぴったりのユニフォームを幅広いラインナップで揃えています。
カラーもデザインも豊富にあるので、お店のテーマや雰囲気に合ったものを選べるでしょう。カフェの開業を考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
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この記事を監修してくれたユニフォーム博士
岩田 百志(いわた もとし) ユニフォームを販売して20年。 豊富な商品知識から、商品の特徴(素材・デザイン・機能面)を瞬時に判断し、お客様に最適なユニフォームを提供するユニフォームコンシェルジュ。 現在では、後身の指導にアドバイザリーとしても尽力。 |