消防庁の発表によると、熱中症による救急搬送者数は、集計を始めた2008年以降、年々増加の傾向にあります。ちなみに、2018年7~9月の救急搬送者数は、全国で過去最多の8万5千人!
夏の気温は年々上昇していることからも、今年も、暑い暑い夏がやってくることは、避けては通れない現実のようですね。
高い気温と高い湿度という環境下で、適切な対応を取らないことで発症する熱中症。厨房の中は、どうしても気温も湿度も高くなりがちですので、特に、これから夏の季節は、厨房の暑さ対策、熱中症対策が必要不可欠です。
この記事では、飲食店ユニフォームを専門に扱うプロの観点から、夏の厨房の暑さ対策・熱中症対策についてご紹介します。
厨房は熱中症になりやすい環境
環境省が発表している「熱中症対策マニュアル」には、熱中症の生じやすい作業環境として「高温・多湿で、発熱体から放射される赤外線による熱(輻射熱)があり、無風な状態」と書かれています。
風が通らない室内で、強力なガスやオーブンを使用する厨房は、どうしても室内が高温になりがち。更に、洗い場、下ごしらえ、調理など、厨房には当然水が必要で、しかも、調理工程でお湯を沸かしたり、食材を茹でたりするので、必然的に湿度も高くなります。このように、飲食店の厨房は、熱中症になりやすい条件が揃っています。
そんな中、ガスやオーブンを使って調理される方は、その熱によって更に体温が上昇するので、熱中症のリスクがますます高まります。夏の厨房には、店内のエアコンだけでは、到底防ぎきれない、多くの熱中症のリスクが潜んでいるのです。
■風が通らない室内
■強力な火力を使う
■高温多湿
■調理中の熱による体温上昇
■エアコンが効かない
■火力の強いコンロを多用する中華系はとくに注意
厨房着・コックコートの特徴
厨房では、コックコートなどの厨房着を着用するのが一般的。コックコートは、調理の際の安全対策として、耐熱性が高く火に強い生地で作られているものがほとんどです。耐熱性の高い生地は、どうしても衣類の中にも熱がこもりがちになりますので、ここにも、厨房で熱中症に気をつけなければならない理由があります。
熱がこもりやすい生地でできたコックコートは、高温多湿な厨房で着用するには、熱中症対策という観点からは、あまりおすすめできる服とは言えません。かといって、火や熱に対する安全性には変えられません。
厨房という熱中症になりやすい環境下で、しかも、体に熱がこもりやすい生地の服を着て働く。こうして、特に夏の厨房では、大量にかく汗で奪われた水分やミネラル分などをしっかりと補給しないと、熱中症のリスクがどんどん高まっていってしまうのです。
■耐熱性が高く火に強い
■熱がこもりやすい
■通気性があまり良くない
コックコートをできるだけ快適に着る工夫
通気を良くする
水分やミネラル分のこまめな補給以外にも、休憩中にはなるべく、コックコートなど厨房着の前を開けて通気を良くして、服の中にこもった熱を逃し、体を冷やすようにすることが大切です。
厨房で働いていると、自分でも気づかないうちに、体温が上昇していることがあります。普段からすこし首周りや襟元をゆるめて、できるだけ風通しをよくして着るようにするだけでも違いますよ。
濡れたままにしない
また、コックコートによく使われる素材に綿がありますが、綿には、吸水性が高く汗をよく吸う、という特徴があります。綿100%のコックコートを、汗で濡れたまま着ていると、通気性が悪くなり、熱が更にこもってしまう原因になります。スポットクーラーなどを利用して、汗で濡れてしまった生地をできるだけ乾かすようにすることも、暑さ対策、熱中症対策には有効です。
空調服™コックコート
コックコートを汗で濡れたままにしない、ということであれば、空調服™コックコートを着用するのもおすすめです。
気化熱で体を冷やす
空調服™コックコートとは、背面腰のあたりに電動ファンが付いたコックコートのことです。作業現場など野外作業時の熱中症対策として効果を発揮している空調服™ですが、同じく熱中症になりやすい環境である厨房向けとして、新たにコックコートタイプが開発されました。
どうして空調服™が涼しいのかと言うと、ファンが取り込んだ外気がかいた汗を瞬時に蒸発させ、その気化熱により体を冷やす効果があるからです。身近なところで例えると、お風呂上がりの扇風機の風が涼しいと感じる、あの現象をコックコートの中で再現しているのです。
最高風量でも8時間の継続利用が可能
コックコート以外にもファンやバッテリーが必要になってくるため、通常のコックコートよりも何倍もコストのかかってしまう空調服™コックコートですが、バッテリーは最高風量(7.2V設定時)でも約8時間の長期使用が可能です。一日中厨房で働く方でも、着替える必要もなく長時間快適にお仕事ができます。
空調服™コックコートの効果について詳しくご紹介!
「厨房だと暑い空気が循環するだけだから涼しくないのでは?」と疑問を抱く方も多いでしょう。そこで、実際に厨房で働いているシェフに着用していただき、空調服™コックコートが本当に涼しいのかを検証しています。
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吸汗速乾性の高いインナーを着る
コックコートの中に着る服を、吸汗速乾性の高いインナーにすると、汗をかいたときでもベタベタせずに、快適性が上がりますので、こちらも暑さ対策には有効です。長袖やハイネックのものだと、コックコートから出てしまい、見た目にも衛生的にもよくありませんので、選ぶなら、半袖のクルーネックタイプのドライTシャツがおすすめです。
アイスベスト
コックコートの中に着る服、おすすめのインナーということであれば、アイスベストもその一つです。
熱中症対策に効果を発揮
アイスベストとは、脇と背中の部分に、専用の保冷パックが入るポケットが付いてるインナーベストのことで、このアイスベストを着用すると、冷たい保冷パックが脇や背中に当たり、直接的に体の熱を下げてくれるのです。
ちなみに、脇には太い静脈が通っていて、体表近くの太い静脈がある場所を冷やすことが、熱中症対策には最も効果的と言われています。このアイスベストは、着用することで静脈をまさにピンポイントで冷やすことができるので、熱中症対策にとても効果的なんです。
快適なフィット感
同じように、体をピンポイントで冷却するアイテムとして、保冷パックを首に巻くネッククーラーや、冷却ジェルシートなどがありますが、作業性という面では、アイスベストがおすすめですね。アイスベストは、伸縮性のあるメッシュ素材でできているので、かなり激しく動いても、ズレることなく体にしっかりフィットします。ジェルシートのように、汗で剥がれてくる心配もありません。
コックコートなど厨房着の中に着ても、シルエットが崩れるといったこともなく、作業の邪魔になりませんし、インナーベストなので、異物混入のリスクがないのもポイントですね。
低コストで暑さ対策
アイスベストの保冷パックは、冷凍庫で約8時間冷却しておくと、40℃の環境下で4℃~10℃を約4時間持続します。厨房の設備を利用すれば、別で電気代がかかるわけではありませんので、コスト的にも非常に優れた暑さ対策、熱中症対策だと言えます。
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さいごに
「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
出典:労働契約法第5条
「事業者は、(中略)快適な職場環境を形成するように努めなければならない」
出典:労働安全衛生法第71条の2
厨房で働く人たちが、安全に、そして快適に仕事ができるように、使用者には「安全配慮義務」が求められています。
換気をよくする、スポットクーラーや送風機、温度計、湿度計を設置するなど、厨房内の環境整備に加え、空調服™コックコートやアイスベストなどを利用して、コックコートをより快適に着ることができるよう工夫することも、厨房の暑さ対策、熱中症対策には有効です。
是非参考にしてみて下さい。
こちらも参考に
>>特集ページ「飲食店の厨房における熱中症対策」
written by ユニネク制作チーム 松浦 一郎
この記事を監修してくれたユニフォーム博士
岩田 百志(いわた もとし) ユニフォームを販売して20年。 豊富な商品知識から、商品の特徴(素材・デザイン・機能面)を瞬時に判断し、お客様に最適なユニフォームを提供するユニフォームコンシェルジュ。 現在では、後身の指導にアドバイザリーとしても尽力。 |