最近、ナイロン素材を使った作業着やポロシャツなどが増えてきています。
綿やポリエステルよりもあまり馴染みのないナイロンですが、服の素材としてどんなメリットがあるのでしょうか。
この記事ではナイロンとポリエステルを比較し、メリット・デメリットについて説明します。
ナイロンとは
ナイロンとはポリエステルと同様、主に石油を原料とする合成繊維です。
その歴史はポリエステルよりも深く、世界初の合成繊維といわれています。
最初は女性用のストッキングなどに使用され、その後アウトドアウェアやバッグ、雨具やインナーへと多くの製品に使用される素材になっていきました。
ナイロンのメリット
摩擦に強い
ナイロンは綿の約10倍摩擦に強いと言われている素材です。
摩擦に加えて、引っ張られる力にも強いため洗濯したときに劣化が少なく、長く安心して使えます。
そのためアウターやバッグなどでナイロン素材が使われているものは特に耐久性が強いです。
ポリエステルも比較的耐久性のある素材ですが、ナイロンの方が高い耐久性をもっています。
軽い
耐久性が強く丈夫でありながら軽いこともナイロン素材の特徴です。
綿などの天然繊維と比べると格段に軽く、ポリエステルを比較してもナイロンの方が軽いといえます。
この2つの大きな特徴があるため、ナイロンという素材は各所でとても重宝されています。
ナイロンのデメリット
吸湿性が低い
吸湿性が低いというのは、蒸れやすいということです。
インナーなど肌に触れる衣服には向いておらず、アウター向けの素材ですが、この上着を着たまま汗をかくと蒸れやすくなってしまいます。
吸湿性という面ではポリエステルよりナイロンの方が劣っており、蒸れにくいアイテムを探しているときは選ばない方がよいです。
熱に弱い
ナイロン最大の弱点は、熱に弱いことです。
ポリエステルは熱にはある程度強いのですが、ナイロンは熱に弱く、乾燥機かけると変形してしまう可能性があったり、アイロンをかけると生地が溶けてしまうことがあります。
そのためナイロンを使ったアイテムの取り扱いには注意が必要です。
ポリエステルもナイロンも、どちらも原材料が石油のため火に弱い素材。
しかしポリエステルは生地を染めるときの温度が高いため「熱」には耐性があるのです。
ナイロンのお手入れ方法
ナイロンは家庭用洗濯機で洗えるため、比較的お手入れは簡単な素材です。
服の作りによって洗濯方法は異なるので、まずは洗濯絵表示(洗濯タグ)をチェックしてください。
前述のとおりナイロンは熱に弱いため、洗濯したあとの乾燥方法やアイロンがけに注意しましょう。
洗濯物を干す際はどの素材でも直射日光に当たると色落ちする可能性があるため、できるだけ風通しの良い場所で陰干しをしてください。
ナイロンはどんなシーンに向いてる?
耐久性があり軽いため、ナイロンは特にアウターに向いている素材です。
水を弾く特性もあるので、合羽(レインウェア)にもよく使われています。
摩擦に強く長持ちしやすいため、ハードな現場でのアウターやレインウェアには最適ですね。
ただし吸湿性が低いので、インナーに綿のTシャツなど汗を吸い取る素材のものを合わせましょう。
摩擦に強いことから、運送業など作業服との摩擦が起きやすい職種の方に選んでほしい素材です。
▼ナイロン素材はこんな人におすすめ
- 運送や配送など服との摩擦が多い現場で働く人
- 耐久性のある作業着が必要なハードワーカー
ナイロン素材を使った作業着
ナイロン素材は作業着の一部(コーデュラ部分)に使われていたり、夏向けのスーツ型作業着はナイロン100%だったりと様々です。ワークユニフォームで人気のナイロンが使われた作業着をピックアップしてみました。
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この記事を監修してくれた生地のプロ
北潟 芳樹(きたがた よしき) 東京でアパレルブランドに勤務後、福井県の生地製造メーカーへ転職。その後、2020年にユニフォームネクスト株式会社へ入社。 服飾用語や生地全般の情報に精通しており、現在はユニフォームネクストYouTubeチャンネルで「生地のプロに聞く」シリーズで生地の知識を配信中。 |