普段着のジーンズを選ぶとき、ストレッチ性があるものを選ぶことはありませんか?
伸縮性があることで動きやすく、窮屈感がなくて着心地が良いですよね。
そんなストレッチ性、実はポリウレタン糸が使われていることが多いんです。
今回は、ポリウレタンを使った生地の特徴や、お手入れに関する注意点などをまとめました。
ポリウレタンとは
ポリウレタンとは素材の名称で、ゴムのように伸びる性質を持つ化学繊維であり、生地に数%含まれるだけでストレッチ性を出すことが出来ます。
一般的に、ストレッチ生地と謳われているアイテムに糸として使われていることが多いです。
有名なポリウレタンの糸には、デュポンのライクラ®、旭化成のロイカ®があります。
近年人気のストレッチデニムにはポリウレタンが使われていることが多く、一般的に「ストレッチが効いている」と聞いて思い浮かぶ着心地の良さや動きやすさは、ポリウレタンによるものが多いです。
ポリウレタンの特徴とメリット
ゴムのような弾力性があるため、生地にするとしなやかなストレッチ性が生まれます。
優しく包んでくれるような、ストレスのない快適な着心地が特徴の糸です。
ポリウレタンにおけるストレッチ性以外のメリットとしては、
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維、綿などの天然繊維問わず、どんなジャンルの素材とも組み合わせることが可能。
綿100%の生地は丈夫で肌触りが良いですが、ストレッチ性に欠けて、伸びづらいものが多くあります。
しかし、ここに数%のポリウレタンを一緒に織ることによって、綿素材でもストレッチ性のある生地にすることができるのです。
ポリウレタンのデメリット
一番のデメリットは寿命が短いこと。
ポリウレタンの寿命は、一般的に2~3年と言われています。
そしてこの「2~3年」という期間は、製品が作られてから、ではなく、使用されるポリウレタンの糸が作られてから2~3年、です。
お店で2~3年売れていなかった商品があったら、もうストレッチが無くなってるってことですか?
そこまで極端な話ではないですが、糸が作られた最初の頃に比べると、戻る力(生地が伸びて元に戻る力・キックバック性)が徐々に弱まっていくので、そういった懸念はありますね。
他にも、水・熱・紫外線に弱く、これらを浴び続けると2~3年と言われていた寿命がさらに短くなる(劣化が早くなる)こともあります。
水と熱と紫外線に弱いって、洗濯も天日干しも乾燥機もダメってことですよね…?
もう…観賞用として置いておくしかないかもしれないですね…
と
いうのは冗談ですが、ここまででわかるように、ポリウレタンを使った製品はお手入れが大変なんです。
そこで、快適にできるだけ長く着続けるための注意点をお伝えします!
ポリウレタンに関する注意点
一番注意が必要なのは、洗濯をするとき
ポリウレタン糸が使われている生地で、特に濃色と呼ばれる黒やダークネイビー(濃紺)のアイテムは特に注意が必要です。
なぜかというと、ポリウレタンは非常に「染まりやすい色」なのですが、その分、色を抜けやすい、脱色しやすくなっています。
そのため、一緒に白いTシャツなどを洗ってしまうと、色移りしてしまったりすることがあるのです。
ユニフォームとして販売されているアイテムは、一般アパレルよりも厳しい試験をクリアしているため、大幅な脱色は起こりにくいと思われますが、
黒やネイビーといった濃色のアイテムについて、最初のうちは白いアイテムと一緒に洗わないといった配慮が必要ですね…!
ただ、これは個人的な意見ですが、ポリウレタンの混率(商品のタグなどに記載)が5%以内だったら、そこまで気にしなくてもいいかもしれないです。
話はずれますが、ポリウレタンって、いっぱい生地に含まれているほど伸びるんですか?
っていうわけではないですね。
そういうわけではないんですか!?
いや、そういうわけですね。
どっち!?!?
ポリウレタンがいっぱい含まれている方がストレッチ性はあります!!
さらに言うと、ポリウレタンと一緒に生地にする他の糸にストレッチ性があったり、密度が混んでいない隙間のある生地だと、さらにストレッチ性の高いものになります。
洗濯後のお手入れも注意が必要
ポリウレタンが含まれるアイテムは、洗濯後のお手入れにも注意が必要です。
脱水時間は短いほうがよく、
タンブラー乾燥などの熱を加えて乾燥させる方法はおこなわないでください。
ただ、浴室乾燥などは問題ありません。
紫外線に弱いので、室内干しや日陰干ししていただくことが理想的です。
保管する環境について
湿気が多い場所で保管しておくと、劣化が早まってしまうため、しっかり乾燥させたあと、除湿剤などを入れて保管しておくと良いです。
しっかり湿気対策をして、しまっておきましょう。
ポリウレタンの注意事項まとめ
- 濃色のポリウレタンが使われたアイテムは、白いものと一緒に洗わない
- 洗濯後の脱水時間は短めに
- 熱を加えて乾燥させる、回転式のタンブラー乾燥は禁止
- 干すときは日陰干し
- 湿気対策をして保管する
普通の衣類と同じように使ってもらって構わないですが、お手入れに気をつけてもらうと、ストレッチ性を長く保つことができるので、ぜひお試しください!
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この記事を監修してくれた生地のプロ
北潟 芳樹(きたがた よしき) 東京でアパレルブランドに勤務後、福井県の生地製造メーカーへ転職。その後、2020年にユニフォームネクスト株式会社へ入社。 服飾用語や生地全般の情報に精通しており、現在はユニフォームネクストYouTubeチャンネルで「生地のプロに聞く」シリーズで生地の知識を配信中。 |