vol.1 アサヒマカム株式会社様
なぜ仕事にはユニフォームが必要なのか。ユニフォームを着るとどんな効果があるのか。このコーナーでは、ユニフォームにこだわりのある仕事人にスポットを当て、ユニフォームに対する想い、お気に入りのポイントや失敗談、そして仕事のよもやま話まで赤裸々に語っていただきます。第1回目は、世界トップレベルの設備と技術で、大手ブランドのインナーウェア生地の編み・染めなどを一貫体制で生産する福井の企業、「アサヒマカム株式会社」様。繊維のプロが選ぶ作業服。そして、バラバラだった制服を一新して変わったこととは…?
人物紹介:代表取締役社長 鈴木 博之氏 2012年に代表取締役社長に就任。平成27年1月に創立45周年を迎える。高機能で美しい高付加価値ニット生地は、編地によって仕上げられたデザインのインナーウェアを市場に広めた。数多くの国内メーカーとの取引だけでなく、その高い技術力は海外のマーケットからも注目されている。 以下:社長: |
人物紹介:常務取締役(兼)CAP事業部 事業部長 鈴木清文氏 日頃からネット通販で自分用の作業服を購入するなど、作業服に関しての知識がとても豊富。今回、ユニフォームを一新するにあたって、商品選定から決定までを兼任。現場でも働く立場から、デザインだけでなく機能性も重要視して選定することができたという。 以下:常務: |
(H28.5現在)
CONTENTS 1分でわかるユニフォーム×仕事人
└連帯感を生むユニフォーム。統一したことで企業イメージもアップ。
└外回りにも着やすく、女性受けも〇。機能性も両立で言うことなし!
└素材、色、サイズ感の3つのポイントを押さえれば、全員が納得のユニフォームに!
└お金では買えない「革新性」に自信。時代の変化に合わせて成長し続ける。
バラバラの制服から全社統一へ
―こんにちは、今日はよろしくお願いします。
さっそくですが、今回、提案から決定までが早かったとお伺いしました。やはりある程度具体的なイメージがあったからなのでしょうか?
常務:100%主観です(笑)。
もともとユニフォームネクストさんのHPを見て商品を絞り込んでいたのですが、営業の佐々木君にサンプルをお持ちいただいてそこから選びました。
社長:常務は作業服マニアなところがあるので、そういうことは詳しいんですよ。
―はい、お伺いしています(笑)。常務は以前、ネイビーの刺繍が入った個人で購入したものをご着用されていたのだと伺いましたが、今の作業服を選んだ理由は何だったのでしょう?
常務:機能性を考慮して、帯電防止の機能は外せないという点と、あとは当然見た目の良さだね。
―確かに機能性に優れた作業服ですね。お色はクーガー(濃いグレー)を選ばれたのはどうしてですか?
常務:ネイビーがなかったからね(笑)。デザインと機能性でこの形が良かったんだけど、この作業服のネイビーの在庫がなくてクーガーにしたんです。結果的にはこの色にして良かったかなって思っていますよ。
―そうでしたか。在庫に関しましては、ご迷惑をおかけして申し訳ありません…。今回、制服を揃えることになった経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか?
社長:そうですね、うちは一社ではあるけれど、それぞれ編立部門と染色部門と準備工程部門があって、染色部門はもともと別会社でやっていたから、こちらはこちらのユニフォームがあって、合併後もそれぞれ別のユニフォームでやっていたんです。でも、実際人の異動があった時に制服が違うと、やっぱり違和感があって大変で。だから今回は全社的に統一して、1つのユニフォームにしたいという常務の意向があってね。
―そこから統一した制服にしようという流れになったのですね。常務の意向ということでしたが、揃えたいという思いはどうしてだったのですか?
常務:自分だけ勝手に着ていながら言うのは何ですけど(笑)、会社の制服というからには、社名とかが入っているといいなというのはあったし、社長が言うように、部門で違うと一体感に欠けているということもあって、お客様から見られる側からしても「なんで違うの?」と思われてしまうからですね。 あとは、全員ピシッと合わせることで、従業員の気持ちの変化もあってほしいという希望も含めて。
―なるほど。確かにそろえることで見た目の印象も大きく変わりますよね。実際に制服を揃えてから従業員の方に変化は感じられましたか?
社長:すぐにはなかなかね(笑)。でも、人材の異動に関しては、ユニフォームを揃える以前と比べて、すっと問題なくできるようになったのが良かったですね。
―制服統一前の課題が改善されたんですね!良かったです。
かっこいいだけじゃない作業服の進化
―従業員の方から、制服に対しての感想は直接聞かれたりしましたか?
常務:気をつかってか、誰もいまいちですとは言わないけど(笑)。
社長:デザインのことでいうと、お客様のところに訪問した際に、これを着ていても違和感がないところが良かった点かな。カチッとしているというか、ジャケット代わりにできるようなところも1つポイントとしてあると思う。前に着用していたのはダボっとしていて、ホームセンターに行っても店員さんに間違われて、「鍋どこや?」って聞かれて「ちょっと分からないです…」みたいこともあったりしたからね(笑)。
―そんなことが(笑)! 常務は今の制服を着用されて、出張にも行かれていると伺いましたが?
常務:実は何度か行ってしまいました(笑)。
―その際に特に抵抗はなかったのでしょうか?
常務:そうですね、訪問先のお客さんからは好評でしたよ。やっぱりダボっとしているようなのが会社の制服ってイメージがあるみたいで、イメージしているような制服ではなかったからかな、と思います。
―確かに最近の作業服はどんどん進化していますね。ご着用のブルゾンもすっきりしたシルエットが特徴です。今回の採用時には女性用と分けていますが、以前の制服に女性用はあったのでしょうか?
社長:事務の女性は事務服を着ていたことがあったかな。だから今回、制服を揃えたことで男女の統一もできましたね。
―そうだったんですね。今まで作業服を着用されていなかった女性は、どのような反応でしたか?
常務:作業服だから抵抗があるというようなことは聞いていないですね。
―そうなんですね。女性も着用しやすいオシャレな雰囲気があるからかもしれません。
常務:そうですね。あとは生地が厚めなので、冬は防寒としても使えるところも気に入っています。
―先ほど機能面で選んだとおっしゃっていましたが、繊維業界でプロとして働かれている皆さんにとって、生地や素材という面ではいかがでしたか?
常務:普段から着用する物なので、平日に洗濯することもあるんですけど、そうなると洗った時に乾きが早いという点かな。綿100%だと、あったかいし風合いもいいんですけど、乾くのは遅いと思う。ポリエステル100%だと質感が違うし、綿が多少入っていた方が風合いは良いしね。
―本当に作業服に詳しいんですね。常務は作業服マニアと伺いましたが、何か作業服に興味を抱くきっかけはあったのですか?
常務:現場でも働くので、最初は会社の支給品でやっていたんですけど、しっくりこないと感じていて。それがきっかけで作業服にハマったかな。最初はポリ100%を着ていたけど、冬場は寒いな、とか。最近は昔みたいにいかにも作業服っていうイメージがなくなってきていて、スリムだったりローライズだったり。そういうのにハマっていって、新商品が出るたびに飛びついていっていました。
―へえ~! 確かに、自分で好きなものを見て選ぶという楽しさはありますよね。
常務:まあそれを会社の制服として着るのはどうかと思うけど(笑)。
―個人で着用されていたのは、かなりオシャレなものだったそうですが、制服を選定するうえでそういった新しいものを制服にしたいという気持ちは出てきませんでしたか?
社長:最初はもう少しカジュアルでもいいかなとは言っていて、デニム調のやつもかっこいいなって正直思っていましたね。
常務:個人的にはありなんですけど(笑)、やっぱりお客様のところにも着ていくことを考えると、決して嫌いではないけど違和感はあるような気がしました。
あとは、10数名くらいならそういうのもおしゃれでいいかもしれないけど、会社の規模感として、なかなか攻めた服にするのは反対意見も出てくるでしょうし、勇気が要りますよね。
―仰る通り、その目線はとても大切だと思います。勉強になります!ちなみに、ポロシャツを決定するにあたってはいかがでしたか?
常務:サンプルを見る前からこれかなって感じがしていましたよ。決めたやつは袖にポケットがついているんですよね。
やっぱり現場で働くには収納がないと。
―確かに収納のあるポロシャツは少ないです。現場では何を収納して使っていらっしゃるのでしょうか?
常務:ペンを入れている人が多いかな。胸ポケットに入れると作業中に落ちたりという危険性もあるし、袖の方が使い勝手がいいしね。
社長:あとは動作性についても言っていたね。
常務:当然現場の方も想定しているので、実際に作業するときのこういう動作があったりとか、色んな動作があるので、やはり動きやすいというところの動作性、ストレッチ性はポイントでした。ひじのところも曲げてもつっぱらないようなところとかね。
―なるほど。言われてみれば、採用したブルゾンにはひじにタックが入っていましたね。
常務:事務所に限った制服であれば選択肢も変わってくるんですけど、今回は全員揃えるというテーマがあったので、正直現場寄りにはなってしまいますね。
採用商品はこちら
「失敗しない」選び方へのこだわり
―機能面でも現場を重視しているということがよく分かりました。ちなみに、ご採用いただいたメーカーさんは、日本製素材という点もポイントだと思うのですが、ジャパンクオリティ(J∞QUOLITY)を取得された御社から見て、日本製へのこだわりはあったのでしょうか?
社長:弊社もジャパンクオリティを取得しているので、当然思い入れはありますね。
常務:選ぶ際にというわけではないですが、使っていくうちに洗濯の繰り返しとかで差は出てくるとは思いますね。裁断の良さや縫製というのは着て使ってから良さがでるものだと思います。
社長:そうだね、導入してからまだ2ヶ月くらいなので、国産生地の良し悪しっていうところは1年くらい経過すると分かってくるかもしれないですね。
ただ、この制服は気に入っているので仮に中国製だったとしても買っていたかもしれない(笑)。
―それだけデザインと機能性をお気に召していただけたということですね!嬉しいです!
以前、取材したお客様からは、着用して働いてみてイメージと違ったというご意見もありましたが、購入後に着て働いてみて、何かギャップや作業性に問題はありませんでしたか?
常務:染色工場について言うと、工場の中が暑いので、以前着ていたものと比べると生地が厚いから、若干暑いという話は出ていたようですね。ポロシャツもあるから、暑かったら脱げばいいのだけど。
作業性に関しては、選定時にもしっかり着用して曲げ伸ばしとかも試してから選べたこともあって、今のところ聞いていないです。
―生地の厚さも季節によって違うので、工場の方にはツイル素材は厚いかもしれませんね。
―今回、常務が率先して選んだと伺っていますが、実際に制服を決めてみて、選定方法について従業員の方の意見を取り入れたり、見直そうと感じた点はありましたか?
社長:着用上不具合があれば意見も取り入れたいと思うんですが、実際そういった意見は十人十色ですし、色や見た目の好みも収集がつかないだろうなということで彼が絞り込んだ状態で進めていたので、特に反対意見が出なければ彼がまた選ぶと思います(笑)。
常務:今回は特に短い期間で決める必要があったので、そこで意見を聞いて全員分の在庫でそろえてっていう流れだと、間に合わなかったんじゃないかな。
社長:クーガーとシルバーで絞りこんだあとに何人かに聞いてはみていたけど、結局それに反した色を常務が・・・(笑)。
―色だけでも結構印象が違いますね。
常務:そうそう、かっこいいのはこっち(クーガー)の色かなと思ったけど、色味が暗いから会社に入った時の印象が明るいシルバーのほうが良いんじゃないかって意見もありました。
でも、現場のことを考えると汚れが目立つから、最終的にクーガーを推しました。明るさは内面から出せばいいでしょう(笑)。
―内面からの明るさですか!なるほど、そういう意味も込められていたんですね(笑)。 今まではどのように制服を購入されていたのですか?
社長:問屋さんでしたね。昔からの流れでそうだったので、今回変えるにあたっては問題なかったです。今回みたいに事前のプレゼンテーションなどもないですし。
―問屋さんやネット通販と違って、今回良かった点はどの部分でしょうか?
社長:やはり制服を導入する際の色々なプレゼンテーションじゃないですかね。地元ということもありますけど、営業の人の生のご意見も付け加えながら話を聞いて選べるのは、他にはないメリットだと思います。
常務:ネット通販のページに乗っている情報というのは限られているので、こういう風に複数サンプルお持ちいただいて、実際に着用しながらこれはこうですよ、という風に教えてもらう方が選びやすいと思うし、買いやすいんじゃないかなと思いますね。
―実際に目で見て、直接話を聞けることで不安を解消できるんですね。
常務:そうですね。制服って長く着るものなので、やっぱり失敗したくないという心理も大きいのかなと思います。製品によっても袖丈とか着丈って違いがあって、そこも人によって好みがあるんですよ。
特に年配の方や女性社員はこだわりが強いんじゃないかな。
―今回は女性を中心にそのような事前の要望はあったのでしょうか?
常務:サンプルをお借りすることもできたので、しっかりサイズの確認はできたから気になる人は大きめを選べたりして問題なく採用できたと思います。
―ポロシャツの採用時には作業系だけでなく介護系のサンプルもお持ちして使用状況とかもお聞きしながら、ジャンルにとらわれない提案ができたようです。確かに問屋やネット通販では難しい域かもしれません。
社長:唯一、在庫がメーカーさんの在庫に左右されてしまうところはデメリットだったかもしれないですね。
―仰る通りです。在庫に関しては、弊社もしっかりと確保して、ご迷惑をお掛けしない体制を築いていきますので!
社長:でも、最初からこの色は選んでいなかったかもしれないし、ネイビーがあったらそっちにしていたかもしれないから、結果としては満足していますよ。
―そう仰っていただけると救われます。営業に対する印象はいかがでしたか?
社長:そういえば、営業の方を知る前に社員にサンバイザーに刺繍を入れたものをもらって、その時の対応がすごくよかったということを聞いていました。時間もなかった中できちっと対応していただいて、すごく気持ちがよかったと言っていましたよ。
―そうだったんですね!ありがとうございます。弊社のスタッフも喜ぶと思います!
繊維業界を生き抜くために
―HPを拝見しました。「革新」をニットするというキャッチコピーが目に入って、気になったのですが、あの言葉にはどのような意味が込められているのでしょうか?
社長:お金があれば編み機などの装置はどこでも揃えられてしまうと思うんですけど、そこに、いかに「革新性」というウチならではオリジナリティと言いますか、一歩進んだ技術力を加えられるかということでそこをイメージしています。
―ありがとうございます、そういった思いからの言葉だったのですね。私は繊維について特段詳しくはないのですが、繊維業界で今気になっていることはありますか?
社長:販売形態が有店舗方式からネットに流れているっていうのをここ何年かで感じます。一方で、価格が高いことを考えると、今回営業の方に来ていただいたように、アドバイザーさんがいて勧められるという点に優位性があると感じているので、ネットで商品の良さがどこまで伝えられるのかという不安があります。
特にインナーウェアは直接肌に触れるものなので、その良さは伝えづらくなってしまいますよね。
―確かにそうだと思います。弊社のネット通販においても同じ課題を抱いているので、お客様に分かりやすいサイト作りを目標にしています。その変化を受けて、何か対策などは考えていらっしゃるのでしょうか?
社長:最終製品ではないので難しいところはありますが、既存の販路以外での販売や、海外向けという視点は持っています。あとはコストの問題ですね。宝飾品のように本当に特別なものというわけではなく、日用品や消耗品に近いので、そこの兼ね合いが難しいところです。
―そうですね。福井の企業という点では、会社を大きくするに当たって、福井の知名度などが影響しそうです。
社長:技術力を上げていくことや、人の教育は当然必要ですね。県民性かもしれませんが、高い技術力を持った企業でも、けっこう控えめな企業が多いように感じるので、オーバー気味にでもアピールしたほうが良いのかなという気はしています。
常務:よほど宣伝効果の高い製品が出せれば簡単でしょうけど、なかなかそれができない中で、どう差別化しようかとなると、行政の協力も必要になってきますし。あとは、観光客の方が喜ぶようなPRだけでなく、人が住みたくなる工夫が必要なんじゃないですかね。我々も人がいないことには働き手の確保ができないので。
―福井にもっと人が増えれば、企業にも良い人材を集めやすくなるということなんですね。それでは最後に、今後の目標を教えてください!
社長:規模を単純に大きくということではなく、内容を良くして、従業員に対する条件も良くできたらと考えています。
常務:規模もそうですが、今は「維持する」のが難しくなっているので、維持しながらもタイミングを見極めて現状に満足せずに挑戦していきたいです。
(社長は)家族含めて300人くらいの船長ですから、運命を左右するんで難しい点もあると思いますが、従業員家族含めてみんなで幸せに過ごすために何をすればいいのかということを日々考えていきたいと思います!
―根本は従業員と家族の幸せというところが素敵ですね。これからも応援しています!本日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました!
インタビューを終えて
今回の取材を通して、直接お話を伺ったり、さまざまな角度からの提案と繰り返しによる営業のメリットを感じました。また、時代とともに確実に変化している今の作業服は、かっこよさも機能性もパワーアップしていると感じます!新しい制服を着用することは、気持ちの変化を通して仕事への良い影響にもつながるといえるのではないでしょうか。これからユニフォームを新しく買い替える方に、満足のいくユニフォーム選びができる提案の仕方も考えていきたいと思いました!